豆知識

原料植物によるでんぷんの違い

太陽のエネルギー、水、炭酸ガスから、炭酸同化作用で合成されたでんぷんは、米・小麦・とうもろこしでは「種子」に、馬鈴薯・タピオカでは「地下茎」に、さつまいもでは「根」に蓄積されます。
これらのでんぷんは、アミロースと呼ばれる鎖状に数百個から数千個のブドウ糖が連なったもの、もしくは、アミロペクチンと呼ばれる房状に数万個のブドウ糖が連なったものから成り立っています。
種子や茎や根から取り出されたでんぷんは、その植物の種類によって粒子の大きさや形が異なり、アミロース及びアミロペクチンの構成比率も異なります。
加工でんぷんの原料には馬鈴薯でんぷんやとうもろこしでんぷん、タピオカでんぷん、その他各種でんぷんが使用され、それらの特性を活かしながら目的に応じて加工されます。

でんぷんの顕微鏡写真

  • 馬鈴薯でんぷん馬鈴薯でんぷん
  • とうもろこしでんぷんとうもろこしでんぷん
  • タピオカでんぷんタピオカでんぷん

アミロース・アミロペクチン

アミロース・アミロペクチン

原料でんぷんの粘度曲線

原料でんぷんの粘度曲線

原料でんぷんの性質

一般に利用されているでんぷんは、馬鈴薯でんぷん、とうもろこしでんぷん、小麦でんぷん、タピオカでんぷん、甘藷でんぷん、米でんぷんなどがあり、直鎖のアミロース成分と分枝状のアミロペクチン成分からなる数ミクロンから数十ミクロンの白色粉末です。植物の起源により、これら構成成分の比率の差とともに、固有の粒の大きさや形などさまざまな違いのため、それぞれ異なった特性を示します。

起 源 粒径(μ) 平均粒径(μ) アミロース含量(%)
馬鈴薯でんぷん 根 茎 5~100 50 25
タピオカでんぷん 根 茎 4 ~ 35 17 17
とうもろこしでんぷん 種 子 6 ~ 21 16 25
小麦でんぷん 種 子 5 ~ 40 20 30

でんぷんの基本特性

溶解(膨潤)性 でんぷんの粒子の中では、アミロペクチンが結晶性のミセル構造をとり、アミロースがそのミセルの間隙に非結晶状態で整然と配列されています。この配置・配列は、常温の水の中では緩むことがないので、でんぷんは常温の水には溶解しないのです。このおかげで、植物からでんぷんを簡単に分離抽出することができます。
しかし、水温を上げてゆくと、分子の短いアミロースが溶解してゆき、アミロペクチンのミセルの中にも徐々に水分子が入り込んできます。そして、やがてアミロペクチン全体が吸水・膨潤していきます。これがでんぷんの溶解(膨潤)です。具体的には、でんぷんの懸濁液が、加熱によって次第に粘稠性を示し始め、透明な糊液となります。この溶解は吸熱反応で、吸熱が始まりでんぷん粒子が膨潤し始める温度を糊化開始温度と呼びます。
糊化と老化 でんぷんが加熱により膨らみ始め、さらに温度を上げていくと徐々に水を吸収し膨潤が大きくなり粘度が上昇し、糊液は透明度を増していき、粘度が最高点に達します。更に加熱を続けるとでんぷん粒子の最外殻の最も結晶化度の高い表皮とも言える部分が崩壊し、内部のアミロースが溶け出し、さらに、熱や攪拌等のせん断力を加えると粘度が低下します。
この糊液を冷却していくと、粘度は徐々に再び上昇し、さらに冷却すると糊液は白濁し、透明度が減少していきます。その状態で長時間放置しますと、白度を増し、糊液が高濃度の場合にはゲル化し、低濃度の場合には離水現象を起こし沈殿を生じます。これはアミロースが冷却により離水し再結晶を起こし白濁したもので、この現象をでんぷんの老化と呼びます。
粘度と粘性 高温で糊化したでんぷん水溶液は、高い粘度と非ニュートン特性を示します。これはずり速度が大きくなると見かけ粘度が低下することを示し、膨潤したでんぷん粒子同士の相互作用と考えられます。また、馬鈴薯でんぷんのような曵糸性のあるチキソトロピックな粘性をロング(Long)、コーンスターチのような曵糸性の少ない塑性流動粘性をショート(Short)と表現します。
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